地域 ~但馬の風土に育まれる食べもの~

中国山地は東に延びて、兵庫県で急峻な山を形作って終わります。標高1,510mの氷ノ山は県内の瀬戸内地域と全く違う気象を演出します。高温多湿。冬には雪。高山に源を発する河川は大流円山川となって日本海にそそいでいます。天のヒボコ(神話)が大地を干すまでは広大な湿地帯が続いていたという兵庫県北部・但馬の地は、多様な生き物の生きとし生ける場でした。その食物連鎖の頂点にコウノトリが舞っていたと言われています。

 

今但馬ではコウノトリと共生する農業の拡大に取組んでいます。1971年最後の1羽を死に追いやった原因は、農薬の大量の使用であることはわかっていました。コウノトリの野生復帰のスケジュールは、農薬を減らした広範囲の農地にドジョウやふなが戻ってくることとの競争でした。

 

米、大豆、小麦、しょうが・・・「コウノトリ育む農法」「コウノトリ舞」ブランドの農作物が次々出荷されていきます。10年間で200haの規模をめざして但馬全域の取組みとなっています。私たちも大豆・小麦を得て醬油を醸造しました。「こうのとり醤油」と名付けています。但馬の気候に最も適応しながら代謝活動を続ける天然の野生種、耐塩性酵母がその主役です。

3.11と遺伝子組み換え

痛恨の3.11から1年。「原発安全神話」の虚構が暴かれるにはあまりにも大きな犠牲でした。重苦しい気持ちを「すべての原発の廃炉」に向けて駆り立てなければならないと思っています。原発は核爆発を本性とするエネルギーを、お湯を沸かす(蒸気タービンを回す)ことに使うというとんでもない「技術体系」ですが、その背景には「核武装」の誘惑があります。

 

同様に今進行している生命の根幹を操作する技術=「遺伝子組換え」は世界の食糧支配という「たくらみ」の中で繰り広げられています。穀物メジャーモンサント社は大豆の世界3大輸出国アメリカ、アルゼンチン、ブラジルのほとんどを組換え大豆の産地に変えてしまいました。その触手は日本にも及び、政府は組換え大豆の栽培認可に向けて地ならしを行っています。TPPへの加盟はその流れを加速することになります。

 

大徳醤油の地元兵庫県但馬地域では「コウノトリ育む農法」で大豆づくりが始まりすでに80トンの産地が形成されつつあります。自覚的消費者と生産者、加工者が強いきずなの中でいのちの循環”を守って行かなければならないと思っています。